2018/07/21
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2018年7月 デフレ完全脱却による財政再建に向けた「平成31年度予算編成」についての提言

日本を二度とデフレ不況に戻してはならない。

政権奪還後5年以上経過してもなお、デフレから完全脱却できていない現状において、できれば次年度に、遅くとも3年以内にデフレ不況からの完全脱却を達成することは、何よりも我々自由民主党が日本国民に対する公約を実行するため、必ず実現しなくてはならない最優先事項である。

骨太の方針にも改めて強調されたように、経済再生なくして財政再建は達成できない。

我々は、政権与党自民党の若手議員として、日本国民との約束を果たすためにも、この提言の政策を実行し、デフレ不況から完全脱却を果たして財政再建の道筋をつけることが、我々自由民主党が現在果たすべき最優先課題であると確信し、提言するものである。

日本経済は緩やかな回復基調にある、とされているが、2014年の消費増税以降、個人消費は伸び悩み、実質賃金は低迷し、そして物価の上昇率は鈍化した。その結果、経済成長率はもとより総税収の増加率自体も鈍化した。

そんな中、2019年10月には再度の消費増税が予定されているが、これが日本経済にさらなる打撃を与える恐れがある。さらに、「働き方改革」によって国民の総賃金の下落が危惧されると共に、これまで内需を支えてきた「オリンピック特需」も終焉する。加えて、世界経済はますます不安定化し、外需が大きく低迷する「世界経済危機」が勃発するリスクは高まっている。

これらの様々な「経済的な打撃」の結果、日本経済が再び激しいデフレに突入することは絶対に避けなければならない。

こうした背景の下、先般閣議決定された2018年度の「骨太の方針」では、「経済再生なくして財政再建なし」の大前提の下、数々の経済的な打撃の「影響」(P.72)、ならびに「経済状況」(P.72)を踏まえて当面の予算を編成するとの旨が明記されている。

そして、その予算編成においては、「中長期の視点に立ち、将来の成長の基盤となり豊かな国民生活を実現する波及効果の大きな投資プロジェクトを計画的に実施する」ことも明記されている(P.50)。

この「波及効果の大きな投資プロジェクト」とは、文字通り「将来の成長の基盤となり豊かな国民生活を実現するため」のものであるから、新しい技術開発のみならず、いままで軽視されてきた日本経済の活力の源となる国内人材投資、自然災害から国民生活を守る防災投資も決しておろそかにしてはならない。

また、長期にわたるデフレ不況により、民間企業は賃金を上げることに躊躇している。来年度予算において政府が賃金上昇の先頭に立つことは、今国会における重要政策である働き方改革を成功に導くために必要不可欠である。

私たちは、日本の未来を切り開くために、政府がこの度策定した「骨太の方針」におけるこうした理念に基づき、日本経済の再デフレ化の危惧を乗り越え、デフレを脱却し、財政を根底から再建するために求められる、当面の予算編成のあるべき姿を提言する。

提言1:2019年度当初予算には「10兆円規模の対策特別枠」を設け、「消費増税・働き方改革・オリンピック特需収束」対策を図るべき。

2019年度の日本経済には、消費増税、働き方改革、オリンピック特需収束の「トリプルパンチ」が襲いかかる。この「経済打撃」を乗り越えるためには、少なくとも10兆円規模の政府需要の拡大策を講ずる必要がある(なお、消費増税による内需縮小+働き方改革による所得縮小+オリンピック特需の縮小の合計値は少なくとも10兆円規模に達する)。

提言2:2019年度当初予算の「通常枠」を、前年度比3.2%(約2.4兆円)以上、すなわち、「当初予算プラス2.4兆円シーリング」にすべきである。

上記の提言1はあくまでも「経済的な打撃の無効化」のためのものであり、決して「成長」のためのものではない。骨太の方針では、「名目3%程度を上回る成長率(P.51)」を目指すとされ、政府試算の「経済成長ケース」では、19年から5カ年の平均名目成長率は、3.2%が想定されている。

したがってこの想定成長率の達成には、日本のGDPの約四分の一を占める「政府支出」自体も、同程度に成長することが当然必要である。

なお「民需」が低調で、民間総支出の成長率が3.2%に到達しないリスクを勘案すると、政府支出は当初予算において3.2%(基礎的財政収支対象経費2.4兆円)「以上」の規模で拡大することが必要である。

国民生活の安定化のための予算を削減する必要はない。むしろそれらの予算を拡大することと合わせて、経済成長を促す政策に対して積極的に支出拡大すべきである。

政府支出の削減は、すなわち「経済成長を阻害すること」に他ならない。民需主導の経済成長が実現するまでは、積極的に当初予算から財政支出を拡大することを提案する。

提言3:政府支出の拡大は、「中長期計画に基づく、波及効果の大きな投資プロジェクト」に充当すべきである。

上記の提言1、提言2に基づく政府支出の拡大分は、経済・財政の「基盤強化」を効果的にもたらす対象に充当するのが得策である。

ついては、「骨太の方針」に明記されている方針に基づき、経済・財政の「基盤強化」を効果的に促す3年~10年以上の期間を見据えた中長期的な「投資プラン」を検討し、これに基づいて、2018年度の「補正予算」を含めた、毎年の当初・補正双方の予算を編成していくことが必要である。

これには、目新しい新規技術開発のみならず、地方経済を支え地方の生活基盤を守る国内人材育成、巨大地震のみならず各種自然災害に対する防災投資もおろそかにしてはならない。なお、そうした「基盤強化投資」項目としては、例えば、次のようなものが考えられる。

科学技術投資拡大

  • ILC整備
  • 量子コンピュータ開発投資
  • 国立大学法人・研究開発法人の運営費交付金増額(できるだけ早期に15年前の水準に回復)
  • 政府研究費負担割合を諸外国並み(2割弱→3割程度)を目指して政府研究開発投資額を増額(対GDP比1%の早期達成)(P.66)

新元号記念フラッグシップ・プロジェクト

  • 研究開発・地方活性化等、100億円×10テーマ×10年

新元号における「恩賜等特別枠」

  • 奨学金返済の減免
  • 無給制下の司法修習生(いわゆる「谷間世代」)貸与金の減免
  • 年金基金解散時の事業主負担額の減免等

均衡ある国土発展のための全国の新幹線整備の加速

  • 北陸新幹線の大阪接続・関空接続の事業決定
  • 北海道新幹線・北陸新幹線の整備加速
  • 国土軸形成を見据えた全国の基本計画の整備計画化
  • 関空新幹線を想定した新大阪駅整備

生産性向上投資の加速

  • 政府及び民間の老朽化した基幹系情報システムの刷新
  • IT投資・地方移転・人材投資および賃上げを促す税制・補助金拡大
  • 人手不足対応の生産性向上投資、技術開発支援(自動運転の早期実用化など)
  • 各種投資減税の2021年以降への延長・拡大

人材育成投資

  • 農業、漁業、林業、建設、造船などをはじめ各業種の日本人技術者・技能労務者の集中育成期間を設定し労務単価・賃金の大幅引き上げ(人手不足を踏まえた処遇改善〈P.26〉)
  • 若者からいわゆる「就職氷河期世代」までを含めた幅広い世代の人材育成、賃金引上げ及び雇用安定化

賃上げ促進

  • 公定価格による労務単価の引き上げ(建設・運輸・保育・介護等)
  • 賃上げ促進税制の充実

観光投資

  • クルーズ観光の促進投資
  • 特定地域への旅行を補助する「旅割」制度の運用

全国の高速道路整備の加速

  • ミッシングリンク整備
  • 暫定二車線高速道路の車線拡幅
  • 新東名・新名神の6車線化
  • 首都高速日本橋地下化

国土強靱化投資の加速

  • 総被害2000兆円に及ぶ南海トラフ/首都直下地震等の諸対策(電柱地中化・橋梁強化・防潮堤整備等)
  • 全国の上下水道、電気、ガス、道路・橋梁、河川管理施設(水門等)、港湾、公営住宅、学校、農業水利施設など非常時に耐えうるライフライン更新、耐震化、長寿命化のための予算の確保(全国自治体に別枠で予算確保、民間事業者補助金・税制優遇等)
  • 全国の豪雨対策の対策計画の策定および長期予算確保
  • 国土強靭化のための民間投資促進税制
  • 巨大高潮のための治水投資
  • 山林整備のための長期計画策定、予算の確保
  • 港湾整備(災害対策および深度)
  • 全国の老朽化した「ハコモノ」の整理事業(更新、廃棄)

地方創生

  • 地方交付税の増額
  • 各事業にかかる賃金の底上げ(東京並みの賃金確保)
  • 道路及び鉄道・バス等公共交通網の再構築等の交通インフラ整備
  • 地方都市再生プロジェクト
  • 地方移転・移住の加速(補助金・優遇税制等)
  • 省力化・生産性向上設備投資支援
  • 学校給食費の支援拡大

新エネルギー投資

  • ダム再開発
  • ガスパイプライン整備補助金

消費税増税対策

  • 軽減税率の対象拡大-軽減税率は8%ではなく5%とする
  • 一単位あたり100万円以下のものはすべて軽減税率とする
  • 個人利用のものはすべて軽減税率適用

中小零細企業消費税対策

  • 免税事業者の拡大(現行1,000万円→3,000万円へ)
  • 課税事業者の判定基準となる課税売上高を「売上高」から「粗利」へ変更
  • 限界控除制度の復活

教育投資

  • 高等教育無償化拡大(給付型奨学金の大幅な拡充等)
  • 乳幼児期の子供たちの心身の発達や認知の特性を注意深く把握し、それに応じた育児や学校における指導にフィードバックする仕組みの構築(就学前に心理検査などが受けられる子育て支援。就学前二回)
  • 学校IT化の一括交付金(別枠予算で確保)・地域みらい留学事業(高校段階で親元を離れて地方へ国内留学50万人)・文理分断を乗り越えSTEAM立国創造事業
    (私立大学の分野の構成比の組み換え)
  • 地域の核としての高校で社会的に自立する地域人育成事業
    (高校普通科を地域化へ転換) 等

防衛装備投資

  • 防衛装備の拡充及び自衛隊の処遇改善

提言4:持続的な経済成長を促すための長期的な財政運営について、検討を開始すべきである。

政府は日本経済の持続的な成長のため、国家財政がどのような役割を果たすべきか、検討を開始すべきである。例えば、次の事項が考えられる。

資本主義は、負債の拡大によって成長する。この原則を忘れてはならない。デフレ不況が長く続いてきたため、企業は負債の拡大を恐れ、内部留保を続けている。適切な経済成長を回復するためにも、企業の貯蓄率にも注目し、企業の貯蓄率が適度な「マイナス」となるまで、つまり企業の各種支出のための資金需要が十分回復するまでは積極的に政府が負債を拡大すべきである。企業貯蓄率が各種支出のために順調に負債を拡大する局面に移行した後には、政府は負債を拡大することをやめればよい。
デフレ完全脱却までは、十分な国民所得を創出するために、また経済成長を促すためにも、政府は負債の拡大を躊躇すべきではないのである。

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